刺繍しながら、色を見ている

刺繍しながら、色を見ている

suimuのシュシュは、半透明のオーガンジーに、フリーハンドで刺繍を入れてつくっています。

あらかじめすべての色や線をきっちり決めてから刺繍するというより、
手を動かしながら、糸の色や線の重なりを見ていくことが多いです。

絵を描く時に、
目の前にあるクレヨンの中から、なんとなく今の色を選ぶような感覚。

この色を置いてみたい。
もう少し明るい線を足してみたい。
少しだけ、違う色を混ぜてみたい。

そんなふうに、刺繍しながら色を見ています。

もちろん、長くつくってきた中で、
このオーガンジーにはこの糸が馴染みやすいとか、
この色を入れると少し引き締まって見えるとか、
経験から意図的に選んでいる部分もあります。

でも、すべてを最初から決めすぎてしまうと、
糸が生地の上で見せてくれる偶然の表情を、見落としてしまう気がします。

オーガンジーは、色をそのまま受け止める素材ではありません。

半透明の生地なので、
糸の色は、生地の上に置かれた色として見えるだけでなく、
透ける層や、光の入り方によって少しずつ変わって見えます。

同じ糸でも、明るい場所では軽く見えたり、
少し影のある場所では、線がふっと浮かび上がって見えたり。

刺繍している途中で、
思っていたよりも色が淡く見えることもあります。

反対に、控えめに入れたつもりの線が、
オーガンジーの透け感の中で、ちょうどよく残ることもあります。

その小さな違いを見ながら、
もう少し足すのか、ここで止めるのかを決めています。

suimuの刺繍は、きれいに均一な模様を入れるというより、
その時の手の動きや、糸の流れを少し残すようにつくっています。

だから、同じ色の組み合わせでも、
線の入り方や、色の出方はひとつずつ少し違います。

それは、ばらつきというより、
その時にしか出ない線の表情だと思っています。

髪に結んだ時、
刺繍の線はオーガンジーのギャザーの中に入って、
また少し違う見え方になります。

机の上で見えていた線がやわらかく重なったり、
髪色の上で、思っていたよりも静かに見えたり。

つくっている時に見ていた色と、
身につけた時に見える色は、いつも少しだけ違います。

その変化も含めて、suimuの面白さなのだと思います。

選ぶ時には、
ひとつひとつの線や色をじっくり見るのも楽しいですし、
少し離れて、全体の印象で選ぶのもいいと思います。

刺繍しながら見えてきた色が、
身につける人の髪や光の中で、また違う表情になっていく。

そんなところも、楽しんでもらえたら嬉しいです。

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